なぜ EV には 12 V の鉛畜電池が必要なのか? 必要ないのでは!
リチウムイオン電池技術の絶え間ない進歩により、電気自動車はこれまで以上に航続距離が伸び、加速、馬力が向上しました。 それでも、現在街中を走っているほとんどの EV は、スタンバイ電源用に 12 V の鉛蓄電池を搭載しています。 それはなぜ?
鉛蓄電池の遺産
安価で信頼性の高い鉛蓄電池は、1890 年代の電気自動車の初期バージョンでも使用され、100 年以上にわたって使用されてきました。 内燃エンジンを始動するために必要な高電流 (低温状態で最大 5 秒間 500 A) を提供し、ICE 車両の電気サブシステム全体はエンジンの回転時に 12 V バッテリーから電力を供給されるように設計されています。
自動車業界が 1990 年代後半にハイブリッドまたはプラグイン ハイブリッド電気自動車で電化を開始したため、ガソリン エンジン始動用として鉛蓄電池は依然として必要です。
エンジンのない車はどうですか?
ガソリンエンジンを始動するために 500 A のピーク出力電流が必要なくても、電気自動車のモーターが動作していないときは、常にサブ電源システムから 12 V の電力供給を行うために、この重い鉛蓄電池を使用し続けています。 電気自動車で 12 V バッテリーをなくすという考えは単純に聞こえるかもしれませんが、それを実現化するには、さらにいくつかの課題に対処する必要があります。
コスト: 鉛蓄電池は安価です。 ほとんどの場合、DC-DC 変換システムを採用して、すべてのライト、ポンプ、ウィンドウ、パワー ステアリング、およびインフォテインメント/ナビゲーション システム用に (高電圧バッテリーからの) 400 V を 12 V に変換するには、より多くの費用がかかります。
複雑さ: 車内のあらゆるものを再設計するのは複雑な作業です。車載認定だけでも承認完了までに何年もかかることがあります。 鉛蓄電池は既に実証済みの耐久性と比較的長い信頼性を提供します。 12 V バッテリの低電圧システムで電気自動車を設計すると、エンジニアリングが簡素化されます。
安全性: 前述の低電圧システムのほとんどは、乗客のすぐ近くに搭載されています。 400 V または 800 V のバッテリーから直接電源を引き出すという考えは恐ろしいものです。 鉛蓄電池を使用するとメイン バッテリを主要なシステムから切り離すことで、高電圧を絶縁できます。 車室内の高電圧設計には何十もの安全保護対策が必要です。 そのため、最近の一部の EV 設計では12 V バッテリーを完全に排除する代わりに、鉛蓄電池を出力が小さく、小型で軽量なリチウムイオン電池に置き換える事例があります。
では、12 V バッテリーをなくすには何が必要でしょうか?
12 V バッテリーを完全になくすには、高電圧バッテリー から安全に引き出せる電源システムが必要です。 400 V と 800 V の公称バッテリー電圧範囲をカバーするために、理想的には 30 VDC から 1000 VDC の広い入力電圧範囲とブレーキなど機能安全用として30 Vのバックアップ電源システムも必要です。
動作温度を下げ、トラクションバッテリーの放電を最小限に抑えるには、電源を高効率化し、また部品点数を少なくすることで、スペースを節約し、信頼性を向上させることができます。
Power IntegrationsではAEC-Q100 認定済みのInnoSwitch3-AQ ファミリのフライバック電源IC があります。それには900 V PowiGaN switchのラインナップもあり、車載の高電圧用途に最適なソリューション提案が可能です。 このデバイスは FluxLink™ フィードバック リンクを使用し、二次側制御側で最大 5000 VRMS の強化絶縁を実現しています。 外付け回路なしで 30 V から起動し、IC は無負荷で 15 mW 未満の消費電力、 90% を超える効率を達成します。これは自己放電を低減するバッテリ管理システム構築が可能となります。
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