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80 PLUS 規格によるイノベーションの継続的な促進

Earth Day - Energy Efficiency

ハッピー アース デイ!

Power Integrations は、エネルギー効率の高い電力変換用高電圧集積回路 (IC) のリーダーとして、省エネ、CO2 排出量削減、電子部品使用数の削減を達成する革新的な技術を通じて日々、アース デイの精神を実践しています。

また、世界各国のエネルギー効率規格の策定を積極的に支援しています。今年のアース デイでは、そのような規格がどのように省エネの技術革新と進歩を推進し続けているかを紹介しています。

2004 年に米国環境保護庁 (EPA) が発表した PC 用電源装置 (PSU) の効率規格 80 PLUS は、画期的な出来事でした。当時、コンピューターの電源は平均 65 〜 75%、力率 0.6 以下が一般的で、80% の効率を達成することは大変なことだったのです。より効率的な電源装置を設計する技術はあったものの、コンピューターやネットワーク機器メーカーからの需要がありませんでした。

80 PLUS をスタートするとすぐに、PSU の設計には変化が起こり始めました。アクティブ力率改善 (PFC)、メイン コンバータ ステージでのアクティブ クランプ、出力での同期整流など、よりアクティブな技術や制御技術が使われるようになったのです。現在、80 PLUS の 5 つのランク (Bronze、Silver、Gold、Platinum、Titanium) ではすべて 80% 以上の最低効率が要求されます。

その変化は、最初は小さいように見えるかもしれませんが、実際は非常に劇的です。80% の効率で損失は 20% です。Titanium レベルでは 92% の効率が求められ、損失は 8% にとどまります。これは、損失を 60% 削減することに相当します。

80 PLUS の最も重要な成果は、効率の低い前世代のユニットと同じかそれ以下のコストで、より効率の高い PSU の設計を可能にする継続的な技術革新が推進されるようになったことです。シリコン MOSFET は、初期の Titanium 効率レベルまで上げるには非常に有効なデバイスです。しかし、技術革新により、設計者はノンシリコンという選択肢を選ぶようになっています。

今日、先進的な PSU は窒化ガリウム (GaN) パワー スイッチを用いて設計されており、部品点数を 40% 以上削減しています。部品点数の削減は、信頼性の向上とソリューションの小型化、コストダウンに貢献します。また、80 PLUS 準拠の PSU に投資することで、信頼性の向上、メンテナンス コストの削減、総所有コストの削減を実現することができます。

Titanium レベルでは、最大効率として 230 VAC 入力で 96%、115 VAC 入力で 94% (いずれも 50% 負荷時) が要求されています。GaN を使用することで、負荷範囲全体で 98.3% の効率と、Titanium の性能仕様を上回る 0.96 の力率を実現する PSU を製造することができます。

80 PLUS は、コンピューター機器のユーザーに対して、高効率の PSU を使用することによるいくつかのメリットについても学ばせています。電気代が安くなるだけでなく、効率が高いために発熱量が減り、冷却の必要性が低減するため、ファンの回転を遅くしたり、ファンなしの設計にすることで騒音を減らすことができます。

まとめ

20 年後も、80 PLUS は存在し続け、イノベーションを牽引していくことでしょう。EU ErP (Ecodesign in Europe) 指令は、データ ストレージ製品やサーバー用の単出力および多出力 PSU について、80 PLUS 認証と足並みを揃えています。単一出力の電源は、80 PLUS Platinum の効率を満たすことが要求されます。2023 年 1 月には、その要件が Titanium 効率に引き上げられます。2026 年 1 月には、EU ErP 指令の効率性の要求が Titanium よりもさらに厳しくなることが予想されています。そのときには、Titanium の先にあるものが何かがわかるでしょう。

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