ソリューション ファインダー 技術サポート

USB-C 充電器がすべてのモバイルデバイスに電力を供給する日は近い

USB Type-C

周辺機器と PC を接続する通信プロトコルとして誕生した USB (Universal Serial Bus) は、消費者向け電気製品やモバイル デバイスの電源供給規格の主流となるまでに成長を遂げました。USB Type-C が対応する出力電力の拡大や、有利な規制も控えており、今後も優位性は続きそうです。

USB-C は 240 W 出力に対応

2021 年 3 月、USB Implementers Forum (USB-IF) は、USB-C ケーブルで送れる最大電力を 100 W から 240 W に引き上げる「USB Power Delivery Rev. 3.1」を発表しました。この EPR (拡張電力範囲) は、USB-C が間もなくほとんどのゲーミング ラップトップやワークステーション ラップトップの電源として使用できるようになることを意味します。複数のデバイスを持ち運ぶユーザーは、かさばるラップトップの電源アダプターを家に置いて、すべての機器に対応する充電器 1 つで済ませることが可能になります。

欧州が推進する充電器の共通化

そして 2022 年 6 月、EU で販売されるすべての携帯電子デバイスに USB-C 充電ポートを搭載することを義務付ける新たな法案が EU の議員によって合意されました。2024 年までに、携帯電話、タブレット端末、デジタル カメラ、携帯ゲーム機、ヘッドホン、ポータブル スピーカー、電子書籍端末、キーボード、マウス、ポータブル ナビゲーション システム、イヤホンのすべての新製品が準拠する必要があります。

ラップトップ コンピュータのように 60 W 以上の充電を行う大型デバイスでは、この法案に準拠するためにハードウェアの追加アップグレードが必要です。そのため、その期限は 2026 年まで延長されます。

ただし新しいケーブルが必要

高出力デバイス (100 W ~ 240 W) の USB-C 充電への変換は、対応しているデバイスや充電器だけではありません。専用のケーブルも必要です。現在、通常の USB-C ケーブルは 20 V、3 A で最大 60 W まで対応しています。60 W を超える場合、100 W までは安全に扱える電流を検知できるチップを内蔵した 5 A 規格のケーブルが必要です。5 A 規格のケーブルと 3 A 規格のケーブルを区別するための世界共通のラベルが存在しなかったため、現在にいたるまで、消費者を混乱させていました。

EPR の導入に伴い、USB-IF は USB-C ケーブルの正式な電力定格の確立に尽力しています。同フォーラムは 2021 年 9 月、すべての USB-C ケーブルを 2 つのカテゴリー (60 W と 240 W) に分ける一連の新しいロゴを発表しました。認定ケーブルには、電力定格、または電力とデータ速度 (20 Gbps/40 Gbps) の組み合わせの定格を示す、対応するロゴが筐体に印刷または刻印されます。

より強力な充電器には GaN が必要

EPR の登場により、各メーカーは 200 W を超える新世代の USB-C 充電器の設計と生産を急いでいますが、この革新の鍵を握る半導体技術が窒化ガリウム (GaN) であることは間違いありません。GaN のサイズと熱低減のメリットは、30 W の携帯電話用アダプタには贅沢なものに思えるかもしれません。標準的なシリコンベースの充電器は重量が 900 グラムを優に超えるため、220 W の充電器の携帯性には欠かせません。

Power Integrations が新たに拡張した InnoSwitch4-CZClampZero のチップセットは、最大 220 W までのアダプタと充電器をサポートしています。750 V の PowiGaN スイッチを搭載した、ゼロ電圧スイッチング フライバック電源用 IC とアクティブ クランプ IC の組み合わせは、最新の USB PD 3.1 仕様への対応に最適です。

設計例 レポート DER-957 をダウンロードして、InnoSwitch4-CZ、ClampZero、及び PowiGaN ベースの HiperPFS-5 力率改善 IC を使用した 130 W USB PD 3.1 ラップトップ充電器をご覧ください。

関連する投稿