ソーラー レースに不可欠なテレメトリ システムは電源効率が重要

どんなレースでも、参加者はパフォーマンスの限界まで追い込まれます。イベントの目的が、これまでの既成概念に挑戦し、複数の新しい技術を試すことである場合、失敗する可能性は非常に高くなります。加えて、多くのシステム、特に電子機器にとって致命的であることで知られている極度の暑さなど、極めて過酷な条件を考えると、レースに勝つことは完走することだと言えるでしょう。

ダーウィンからアデレードまで、灼熱のオーストラリアの奥地を南北に走るソーラー カー レース、ブリヂストン ワールド ソーラー チャレンジに今年出場するチームの多くが、そのようなモットーを掲げているのは確かです。前回の 2019 年大会では、多くのチームが完走を果たせず、たとえば、経験豊富で過去に成功を収めたオランダのヴァッテンフォールは、首位走行中にマシン「ヌナ」が火災で焼失しました。

高効率でありながら揮発性の高いバッテリ システムは、レース中に限界まで追い込まれ、簡単にオーバー ヒートして発火する可能性があるためです。もうひとつの課題は安定性で、「自動車」は空力効率を重視して設計されていますが、下向きの力を得るために F1 用のスタビライザーを搭載する余裕はありません。2019 年は、ドイツのゾネンワーゲンとベルギーのアゴリアの 2 台が完走を果たし、ベルギー勢が初優勝を飾ったものの、3 台の有力車が激しい風の影響で時速 100 km を超えるスピードでのクラッシュに見舞われました。

オーストラリア中部の砂漠を横断する自動車は孤独ではありません。それは、各チームには、ルートと状況を偵察する先導車と、利用可能な太陽光発電を最大限に活用するための最適な戦略を決定できるよう、複雑な状況を分刻みで分析する追跡車も含まれるからです。そして、安全性、バッテリの状態、速度、ステアリング、制御、使用電力、充電量、発電量など、ミッション クリティカルなシステムの状態を監視し、伝達するための正確なテレメトリが必要です。

これらの機能を提供する電子システムは、他のあらゆるものと同様、可能な限り効率的である必要があります。レース中は搭載されたソーラー パネルが唯一の電力供給源であるためです。バッテリの残量を消費することなくコースを進みながら、取り込めるエネルギーだけを使用する「エネルギー ニュートラル」走行を目指します。しかし、太陽が雲で遮られることもあれば、特に難しい場所では、より高いエネルギー消費が必要になることもあります。

スイス連邦工科大学チューリッヒ校の αCentauri ソーラー レーシング チームは、Power Integrations のスイッチング電源用 IC をベースとした補助電源を使用しており、Aletsch と名付けられた車両の制御ボードの電源を変換し、また、緊急時に車内外から作動できる重要な安全ドライブトレイン遮断機能を提供しています。αCentauri が以前の設計で搭載していた PSU は、ピーク効率 90% の電源モジュールを採用していました。

しかし、その初期のシステムは、ハンドル制御、バッテリー遠隔測定、CANBUS への接続、ライトなど、ほとんど低電圧機能が動作する軽負荷時に効率が低下しました。 チームは設計を改善するために PI に連絡しました。当初の仕様では、90 ～ 150 V DC 入力、12 V DC、10 W (公称) 出力でした。ピーク出力は、50 W に設定されていました。

新システムは、Power Integrations の 750 V PowiGaN ベースの InnoSwitch3-EP フライバック スイッチを使用し、ピーク負荷と軽負荷で約 95% の効率を達成します。更に、新しい設計ではスペースと重量を軽減しています。αCentauri は、新しい設計での最大の目的であった 20% の負荷でも高効率を維持したことに非常に満足しています。

αCentauri は、約 20 W の負荷での効率差を計算し、平均で約 1.5 W の電力節約になります。このチャレンジ全体を通して、ソーラーカーで (暗闇の中を) 5 km 走行するのに十分な電力量に相当する 60 Wh の節約を期待しています。

制御ボードは、ミッション クリティカルで重要なバッテリー監視遠隔測定システムに電力を供給するだけでなく、警告ホーンも駆動します。これは単なる規制要件ではありません。このチャレンジはオープンな公道で行われるため、すべての自動車は「法的に公道走行可能」(かつ速度制限順守) でなければなりません。また、それは非常に実用的な要件でもあります。スピードを落としたり、上げたりすることは貴重なエネルギーを浪費するため、野生動物が高速道路に迷い込んだ (または飛び込んできた) 場合、音声による警告は重要なツールであると同時に必要不可欠なものです。

Power Integrations は、チーム αCentauri のスポンサーとなり、奥地でのチャレンジの成功を応援できることを嬉しく思います。Mr. Green はオーストラリアに向かい、#PowiGaNVan で彼らを追います。このブログ、YouTube チャンネル、ソーシャル チャンネルを通じて、私たちをフォローしていただければ幸いです。

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