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今後 30 年間の風力発電の成長

wind turbines

世界的な CO2 排出の削減は、再生可能エネルギーの生成に大きく依存しています。4 か国を除くすべての国がパリ気候協定に署名したことで、再生可能エネルギー導入への流れが加速し、風力発電がその先陣を切っています。

現在、世界では、水力以外の再生可能エネルギーの半分以上を風力発電が占めています。また、風力発電の導入量は他のどの分野よりも急速に増加しており、国際再生可能エネルギー機関によると、1997 年の 7.5 GW から 2018 年には 567 GW に増加しています。今後 30 年間、風力発電はどのような役割を担い、どのような課題があるのでしょうか?

最近、風力発電が最も成長しているのはどこでしょうか?

2020 年の世界の陸上風力発電の増加量は 108 GW で、2019 年の 2 倍となりました。この追加容量の 79% は、世界の CO2 排出量トップ 2 である中国と米国によるものです。

中国は、2030 年に CO2 排出量のピークを迎え、電力需要の急増が予想されることから、2021 年から 2025 年にかけて風力発電容量を 5 ~ 6 倍に増やすという積極的な目標を掲げています。

主な成長要因は、技術の発展です。タービンが大型であるほど、電力生成の KW あたりのコストは低くなります。コストが世界中で 45% から 66% 低下した結果、この技術がより多くの人々に届くようになり、古い設備よりも新しい設備の方がより多くの電力を生成できるようになりました。また、新しいタービンは、風力レベルが低くても電力を生成できるため、稼働時間はずっと長くなります。

税制優遇措置や軽減税率などの政府による奨励金は、風力発電への投資の増加において有効であると証明されてきました。

また、風力発電は他の再生可能エネルギーと比較して、いくつかの点で優れているため、その普及が進んでいます。例えば、水力発電よりも風力発電に向いた場所の方が数多くあります。風力タービンは、冷却のための水を必要とせず、フットプリントが相対的に小さいため、建物の近くに配置することができます。屋根へのソーラー パネルの設置が増えているのと同様に、多くの企業や個人の所有者が独自に投資しています。

陸上での成長。洋上での成長。

洋上風力発電は、世界の風力発電の中でまだ貢献度が低いため、今後 10 年間で大きく成長することが予想されます。人口密集地に近く、沖合の風が安定して吹いていて、海底が浅い場所に最適です。欧州には、すでに 40 基の洋上設備があり、中国と並んで成長を牽引しています。

中国に次ぐ CO2 排出国である米国も、洋上風力発電施設の建設を活発化させています。7 基の試験用洋上風力発電機に加えて、来年には同国初の洋上風力発電所の生産を開始し、2024 年には 2 基目、2026 年には 3 基目の洋上風力発電所を建設する予定です。沿岸部の 7 つの州は洋上風力発電の購入に大規模なコミットメントを行い、政府は産業を支援するための長期的なインセンティブを導入しています。

また、さらに多くの地域で洋上風力発電所が展開されています。インド、台湾、日本は、洋上風力発電の発達における異なる段階にいます。コストが下がり始め、排出削減の圧力が高まるにつれて、さらに多くの国がこのリストに加わることが予想されます。

さらに、浮体式洋上風力発電、ゲイングランドなどの新しい展開も予想されます。Hywind Scotland は、2017 年から営業しています。最初の報告では、タービンの浮遊が信頼性や生産に大きな影響を及ぼしていないことが示されています。この技術が成熟すれば、高い資本コストが下がり、信頼性が増すと期待できます。この技術により、離島などを含む、険しい防潮堤があり、海底設置が不可能な場所での風力発電が可能になります。

今後 30 年間に風力発電が直面する課題は何でしょうか?

現在の風力発電所は、ほとんどの場合、人口密集地に近い場所に設置されています。一部の国ではパワー グリッドが分散しているため、エネルギーを動かすのは簡単ではありません。集中度の低い場所への拡張を可能にするために、インフラには、大規模な投資が必要です。

風力発電が毎年大きな成長を続けるためには、サプライチェーンも成長する必要があります。ヨーロッパの定評あるサプライヤーが米国の新市場に投資し、イノベーションを推進しているのを目の当たりにしています。新しい市場で技術が確立されれば、部品の国内生産が可能になり、自国市場のコストをさらに削減し、市場の成長を促進し、新しい市場に参入するための部品の供給力を高めることができます。

タービンのサイズ、効率、信頼性を高めるためのイノベーションは今後も続くと予想されます。このような技術的進歩の例として、Power Integrations の SCALE-iFlex™ LT プラグアンドプレイ デュアル ゲートドライバが挙げられます。

このデバイスにより、複数の EconoDUAL™ モジュールを並列接続した場合の性能が 20% 向上し、パワー インバータやコンバータ スタックから 6 モジュールのうちの 1 モジュールを省くことが可能になります。ドライバ及びモジュールのコスト削減に加えて、制御の複雑さや、モジュール、配線、ハードウェア、放熱特性などに関係したコストも削減されます。SCALE-iFlex LT は、特に 3 ~ 5 MW の範囲における洋上風力タービンに適用されます。

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